あすか先輩は、かつてテニス部員であり、生徒会役員のひとりでもあった。行間を読むと、そうでしたね。そして、テニス部をやめた経緯についてはさだかではないものの、生徒会をやめた理由は思春期特有の女子同士の恋愛感情のもつれ、具体的には誰あろう今の生徒会長があすか先輩のかつての「彼女」といいますか、いや、まぎれもなく彼女でした、雰囲気的に。

そうそう、みなさんも経験あるはずです。だいたい、所属していた組織を抜けるときってのは、お金か人間関係か、どちらかのトラブルですよね。まあ、中学生の場合は、お金でどうのこうというよりは、やはり、人間関係でというほうが自然なので、やはりテニス部を退部したのも、つまりはそういうことなのかな。

あすか先輩は「他人と関わって信頼しても、けっきょく裏切られる。その結果として自分が深く傷ついてしまう。」という悲しい現実を、思春期特有の揺れる心で、また、大人への階段を登る途中である中学校生活を通して、学んだのですが、しかし、それでも誰かを信じたいという気持ちは捨て切れないところがありました。自家撞着。いいですね、まだまだ若くて、さすがにそこまで擦れてないといいますか、表向きは人間不信をよそおい孤独を愛するかのようにふるまうのですが、うっかり本音といいますか他者への思いやりの心がふっとあらわれてしまうときもあるのでした。かわいいね。

あすか先輩がプリキュアになったのも、助けたい守りたいという気持ちからでした。もちろん、あすか先輩をそういう気持ちにたどりつかせるまでには、夏海たちのあすか先輩に対する優しい働きかけがあったからですが、それにしても、最終的に決断したのは決断できたのは、ほかでもない、あすか先輩その人なわけでして、これを信頼関係のめばえととらえてよいのでしょう。

あすか先輩は思ったのかもしれない。また裏切られるかもしれない、そうしてまた傷つくかもしれない、けれども今はそんなに弱いあたしではない。たとえまた失敗しても、自分を信じて決めた道ならば、うまくいかなかったとしても、あきらめがつく。それに今度は、いままでと違って、なんだか、うまくいきそうな予感すらするのだと。卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。あたしは硬い殻を破って、そうして新しい自分を誕生させたいのだ。そんな願いを心に宿し、一歩前へと進んでいく、あすか先輩の姿がそこにあった。自身の殻を破壊せよ、自分自身を革命するために。と、そこまで深刻ではなかったかもしれないが。だいたいそんなかんじではあった。