なんかウソくさいな、黄瀬父の話。なんか、ものすごく強引というか、こじつけというか、あとづけな、そんな名前の由来でした。だいたい春をイメージするなら、もっとこう「春子」とか「春美」とかで良かったンじゃねーか?

やっぱ、そう、「やよい」って名前は黄瀬父の初恋の女の人の名前、というのが自然な感じがするね。だからこそ娘以外には「やよい」という名前の由来を教えなかった、というのが本当のトコロなんだろう。だってそうでしょ、「やよい」という名前が初恋の人の名だなんて、ぜったいに黄瀬母には言えないだろうし、言ったところで妻には「ちょ…なにそれ?!、、、ふざけないでよッ!」と返されるのがオチだろうし。うむ。黄瀬祖父と黄瀬祖母の意見を完全に無視したのも、そう、じぶんの娘に「やよい」と名付けるコトでいろいろとメリットがありますからね。ええ、それはですね、たとえば黄瀬父が寝言で「やよいー、やよいー、ゴニョゴニョゴニョ…」とか夢の中で思い出の初恋のオンナと、あんなことや、こんなことや、そんなことまでやってても、黄瀬母は自分の夫は夢の中で娘と遊んでいるのだなと思ってくれるだろうし。それと黄瀬父が「やよい、大好きだよー」とか大声を出しても、周囲の人たちは自分の娘への愛を叫んでいるのだと勘違いしてくれるだろうし。うん。いつまでも青春時代に好きだった女の人のことをひきずって生きる、それがオトコってヤツなんです。いや、偏見かもしれませんがね。でも、なかにはいるってことです、むかし好きだった女の人の思い出を大切にしているオトコというのは。それが、だれあろう、黄瀬父その人なのだ。

あと、なんで、とうの黄瀬やよいさんは父親から教えてもらった自分の名前の由来を忘れてしまっていたのかというと。それは黄瀬父に「この話は、みんなにはナイショだよ。しゃべったらオバケがでるよ。」と脅かされていたからです。うっかり自分の名前の由来を他者に漏らしたらオバケがでる。オバケがでたら夜オシッコに行かれない。そう考えただけで恐怖なので、余計なことは忘れよう忘れようとしているうちに、ほんとうに忘れてしまった黄瀬やよい当時5歳。しかも黄瀬父は黄泉の国に旅立ってしまった。これでもう「やよい」の名前の由来を知るものは、この世に誰もいなくなったと。それが本当のところなんじゃないのかなーと。そう思わずにはいられない、今日このごろ。

以上だ。