プリンセスは、かつてアクシアの箱を開けてしまった、そのことをずっと隠していたが、ある日そのことがはからずもバレて、もうオシマイだと絶望するも、それでもなお友達でいてくれたラブリーとハニーに救われた。

友達に精神的に支えられてると安心できるし強くなれる。じゃあ一人ぼっちのフォーチュンは、どうなの。このまえ、そんなプリンセスの心情が描かれていました。友達に助けられたから、こんどは自分が助けたい。プリンセスはそんなふうに思うようになっていて、それでいつかフォーチュンの心を救えたらと考えていたのかもしれない。

そして、さっそく今回、そのチャンスが訪れた。プリンセスたちが助けに行ったとき、すでにフォーチュンはプリキュアハンターに敗北し、プリキュアの変身も解除されてしまっていた。絶望にうちひしがれていたフォーチュンにプリンセスは、持ってるプリカードをすべて与え、願いをかなえろと。

でも、なにをかなえたら。私の願いって、私の本当の願いって、なんだろう、と。フォーチュンは、しばし悩む。これまでのフォーチュンだったら、自分ひとりで集めたプリカードだったら、もしかしたら、プリカードのちからで、姉を助け出していたか、プリキュアハンターを倒していた、のかもしれない。でも今、手元にあるプリカードは、半分は、プリンセスから託されたもの。しかもプリンセスは絶体絶命のピンチを救ってくれた、いわば命の恩人だ。フォーチュンの心は揺れてた。

プリンセスがフォーチュンにプリンセスの持ってるプリカードをすべて与えたのは、プリンセスのプリカードはもともとラブリーとハニーと3人のものだったものを譲ってもらったわけで、プリンセスは譲ってもらったから、譲ってもらったのはプリカードで願いを叶えられる権利だけではなくて、その譲るという行為に込められた優しい気持ちもいっしょにだから、その優しさをプリンセスもフォーチュンに届けたかったからかなと。

悩んだすえにフォーチュンが出した答えは、自分がもう1度プリキュアになってみんなを助けるということでした。プリカードになにかひとつ願いをかなえてもらえれば、かかえている問題がすべて解決するというほど世の中は単純ではなくて、だからこそ自分の力でひとつひとつ解決していかなければならないのだと理解するフォーチュンこと氷川妹。そのための力が不足している。だからその力が欲しい。だからプリキュアになることを願ったのだ。

かつてラブリーとハニーがプリンセスを救い、こんどはプリンセスがフォーチュンを救った。ラブリーとハニーがプリンセスにプリカードを譲り、こんどはプリンセスがフォーチュンにプリカードを譲った。そんなふうに人と人とのつながりが描かれて。さらにはフォーチュンが世界のみんなを救いたい、みんなの願いを!というながれに、つながっていく様子が描かれていたようです。人と人とが優しくつながって世界が幸せに、という、プリキュアのテーマのひとつが凝縮されてた印象です。

あと、よかったのは、プリンセスがフォーチュンに素直に謝罪してたところですね。こないだは、悪意はなかったんだとか、誤解なんだ、みたいに自分をごまかして、逃げてましたけど。プリンセスだってバカじゃないから、いろいろ思うところがあったのだろう。おそらく自分から心を開かないとフォーチュンとは友達にはなれないだろうし、友達になれなければ本当の意味でフォーチュンの心を救うことなんてできないだろうと、そんな感じじゃないだろうか。そんなプリンセスの気持ちを察してかフォーチュンもいさぎよく、ごめんなさい、と、それからつづけて、ありがとう、と返してくれた。この、ありがとう、には、いろんな気持ちが込められてるようだ、助けてくれたこと、プリカードを譲ってくれたこと、そして、新しい自分へと導いてくれたことに対して、と。