メルヘンランドの女王はすでに戦死していた。その事実をふせていたのは、おそらく余計な心配をさせないためだったのだろう。女王は生きている。そう信じこませることで。希望をあたえることで。女王の復活を願わせることで。プリキュアたちの戦意を喪失させないようにする。嘘も方便。メルヘンは現実を生きるチカラとなることを女王は知っていた。

女王は生き返りたいとは思っていなかったのだろう。どんなに望んで努力しても、メルヘンのちからでも、魔法ですらも、死者を生き返らすことはできないのだから。女王が願ったのは、あたらしい女王をメルヘンランドに即位させることなのだ。そのためには、娘であるキャンディをなんとしてでも守らなければならない。その強い意志が、肉体はほろびても、精神だけはかろうじて生かしてくれていたのだろう。それくらいならば女王の最後のメルヘンのちからでも可能だったと。

つたえたい、つなげたい、という気持ち。死者からの伝言。生き残った者が受け取る。大切な人がなくなってしまったのは悲しいけれど、悲しんでばかりでは前には進めないし、なくなった人もよろこばないだろう。受け継ぐということ。なくなってしまった人のぶんまで一所懸命に生きるということ。そうすることで女王の精神はやすらかに消滅できるのだ。