もしも、スマイルプリキュア!ではプリキュアの正体が他人にバレると数分後には死んでしまう、みたいな設定だったら…。もしそういう設定だったら、緑川さんが弟妹たちの前でプリキュアに変身するのをためらったのも理解できたでしょうに。ここで変身したら自分は死んでしまう、かといって変身しなければ弟妹たちを見殺しにしてしまう。変身して、弟妹たちを守れたとしても、自分が死んでしまったら弟妹たちはもちろん両親も悲しむだろうし。変身しなくて、弟妹たちのうちの誰かが死んでしまったら、やはり悲しい。ああ、どうしよう、どうしよう、こまった、こまった。今回がそんな展開だったらオモシロかっただろうに。つまり変身してもしなくても家族の絆は守れないという悲しい展開。これはもう視聴者的には、もうヤメテー、と叫びたくなる展開なのですが。非情にも物語は続くのです。どうなる、どうなる。それからどうなる。ハイ、緑川さんは変身するほうを選ぶのです。弟妹たちが死ぬよりは自分が死んでしまったほうが、まだマシだとおもったから。マジョリーナは倒したものの、正体がバレたのだから、もうすぐ死ぬだろうと覚悟を決めるキュアマーチ。けれども、なかなか死なない。キュアマーチが死なないかわりに、弟妹たちが全員とつぜん気を失ってしまった。そのときメルヘンランドの女王様があらわれて、かくかくしかじかとキュアマーチにつげる。記憶を消しておいたから、目が覚めたら忘れてるから大丈夫、キュアマーチは死なないから、と。そして最後に女王様は「格別の憐憫じゃ、感謝して以後もプリキュア業をはげめ」とだけ付けくわえて去っていきましたとさ。めでたし、めでたし。どうでしょうか、こんなオチは。…ダメか…

今回はイヤな展開でしたね。マジョリーナさん、人質作戦ですか。これってプリキュア的には反則じゃないのかな。これが許されるなら毎回だれかの家族がねらわれてしまいますよ。それにマジョリーナさんの担当回なら、とうぜん、ナントカニナールが登場するものだと、視聴者的には期待してしまうのですが、それもなかった今回。マジョリーナさんがアカチャンニナールで、生まれてきた赤ちゃんと入れかわって、油断している緑川さんにだっこされたときに急所をブスリとやっちゃうとか、そういう作戦は考えなかったのでしょうかね。まあ、いいや。で、もっともダメだったのが、けっきょく緑川さんひとりでは家族の絆は守れなかったということです。ほかのプリキュアさんたちが助けにきてくれたからこそ、緑川さんの弟妹たちの生命は守られたのです。ほんと緑川さんの見せ場はなかったですね。なんとなく結論としては、家族の絆は他人様のチカラによって守られる、ってオチだったのかな〜とか、考えてみたり。うーん、個人的には期待ハズレだったというか、なんとなく空振りだった感じのする今回のお話でした。残念。とはいえ、まあ、よくよく考えてみれば、「家族」という小さい社会は、それ自体で排他的に存在しているわけでは当然ないですからね。商店街の人たち、プリキュアの仲間たち、などなど、そういった自分の家族ではない人たちとの関わりや支えがあってこそ、「家族」という小さな社会は成り立っていられるのが現実なんだ、と今回のお話をとおして感じられなくもなかったので。そういう意味では良い話だったのかもしれん。家族の絆を守るためには、家族以外の人たちとの絆も大切なのだと。そういうことですかね。